HOUSE KT
東京都内の閑静な住宅地に建つ、30代のご夫婦とお子様のための住宅。25坪という比較的小さな敷地ながら、2台分の駐車スペースを確保すること、また打ち合わせの中で、そのご家族が将来の家族構成に関してフレキシブルに対応できる家を求められていることがわかった。一方で、敷地の北側には複数の隣家へアクセスする路地があり、路地越しに自然味あふれる庭をもつ家が、また路地には隣家の方が育てられた色とりどりの花が存在していた。この豊かな緑や花は小さくても貴重なものであり、敷地周辺が将来的に建て替えや開発により変化するとしても、近隣の方々の良識等により何らかの形で保存されるのではないかという期待感すらあった。また、南側には北側斜線一杯に高さ5mまでは新築の隣家の壁面が建つことが決まっていた。それらの与件を含み考えるうちに、南側に開いた台形の平面形にたどりついた、この形状により、1)大型ワゴンと小型車の駐車スペースを確保し、2)南側の日照や居住空間の面積を最大限確保しつつ、3)動線部分の面積を最小限とし 、4)樹木を植えられるドライエリアも確保し、5)かつ北側の路地や隣地の緑への日照も確保し借景として生かせるという一石何鳥もの間取りを得ることができた。やや変形した間取りは内外部の力学のバランスの結果でもあり、ゆえに周囲との関係あるいは内部空間においても意外と違和感が感じられず、むしろ自然なたたずまいとなった。

 内部においては個室というものをあえて設けずに、半地下の地下1階と1階を共に可動収納により間取りの変更可能なワンルームとして、分割可能な折れ戸によって出入口位置を自由にとれるようにした。最上階はキッチンカウンターや食器棚、冷蔵庫、収納、テレビ置き場等をひとまとめの収納壁として整理し、限られたスペースを最大限の効率で使いやすく考えている。1階と2階の中間には洗面と浴室を西側のドライエリア上部に張り出す形で設け、各室からのアクセスを良くすると共に、木製ルーバーで囲われたドライエリアの樹木(メグスリノキ)を楽しむことができるようにした。また開口部についても工夫し、メインの大窓以外を通風専用の小窓として、好ましい風景のみが楽しめるよう配置と大きさを吟味した。
 。。等々、工夫満載の小さな家であるが、これらの工夫のうちのいくつかはクライアントとの打ち合わせで生み出されたものでもあり、竣工時のクライアントご家族の満足な笑顔が大変印象に残った。周囲の緑への配慮については隣地の方にも好評なようで、クライアントと近隣の関係もスムーズに運ぶと思われる。コスト調整にも時間がかかり、土地探しから始まった長い設計過程と短く厳しい施工期間であったが、結果としては関係者一同報われた幸せなプロジェクトとなった。

 設計、施工過程を見る→

■建築概要: 
 主要用途:個人住宅
 用途地域:第一種低層住居専用地域
 敷地面積:84.14m2
 建築面積:37.01m2
 延床面積:111.30m2
 規模、構造:地上3階地下1階、
       木造在来工法、一部RC造
 建物高さ:8.57m
■設計・監理: 
 建築:八尾廣建築計画事務所
    八尾廣、多田恵里花、庄司光宏
 構造:山田構造設計事務所 山田泰範
■総工費:2770万円 




  ■建築プロデュース、施工:
   (株)ベルクハウス
    清水裕、中澤猛夫
  ■設計期間:2005年4月〜2006年1月
   施工期間:2006年1月〜2006年6月





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